冬至の香りは柚子だった
「さぁ、クイズ第一問目です!
明日のお風呂には、柚子が入っているでしょ〜うかっ!」
今日のお客様は冬休みを迎えた地元の先生方でした。会席料理2時間コースの後半に入った先生達は、ブリの照り焼きを手元に、楽しそうなゲームタイムに突入していた。
突然変わった質問ふりかけるな〜、と、他人事のように聞き流しながら私は配膳を続けていた。
すると。
「答えは! はい、お姉さんっ!」
え…っ!?まさか!
顔を上げると、皆様のキラキラした目が私に向いているではないか!
どうしよう、私答え知らなーい!
とにかくニコニコしながら先輩の顔をチラッとみるが、にこやかな微笑みしか返ってこない。
うーん、やっぱり分からん!
みんなの期待が肌で感じ取れるくらい、この瞬間の空気はピンと張っている。
えいっ、仕方ない!
円満の笑顔で答える。
「明日のお風呂に柚子は入っていまぁーーー…
(突っ込んでくれ、先輩!なんか言って!……シーン……)
入っていまぁーー……
せんっ!!」
だってそんな話聞いてないもん!自信を持って言ってみた。
「ワァッ!」ドッと笑いが巻き起こる。
ホッ。乗り切れた!
すると…
「いや、入ってますよ!」
と先輩が横から突っ込む。
えっ!?
「そうゆうオチ〜?!」と、再び笑いが巻き起こる。
入っとるんかい!やっぱり私は何も知らないー!
・・・
そう、実は毎年冬至になると、ここ城崎温泉の湯船には合わせて約3,000個の柚子が浮かぶそうな。
城崎温泉観光協会サイトより
「古来より、冬至の日には浴槽に柚子を入れ、ひびやあかぎれを治すと言われています。
また、冬至の柚子湯に入浴すると風邪をひかないとも言われています。」
(城崎温泉観光協会のホームページより)
ほんの1日だけの特別なお風呂。
そういえば昔、うちでもやったね。
子供の頃、母と「気持ちいいね〜」と言いながら浴槽にプクプク浮かぶ半分に切った柚子の身をかかとやひじにヌリヌリした記憶がよみがえった。
お風呂でも季節を楽しむ。
とにかくあの柚子のさっぱりした香りに癒されますよね。
こうゆうのも日本の文化の素敵なところ。
先日お茶の先生にゴツゴツした巨大な「鬼柚子」の分厚い皮を使った蜜漬けをいただいたので、お湯と飲んで体を温めながら本格的な日本海側の冬を待ちかまえようと思います。
皆様もぜひ柚子の香りと共に、冬を迎えてみては。
一緒にヌクヌクしましょう!