二の糸
あっという間に訪れたブログの更新日。色んな出来事があった中ここ一ヶ月を振り返ると、決定的に浮かび上がってくるテーマが一つある。それは他でもない、ザ・三味線!
お稽古を始めてから約6ヶ月間、部屋の中で同じ2曲をひたすら繰り返すばかりだったが、近頃は色んな刺激があり少し進歩を感じられる出来事があったのだ。
それは10月にくみちゃんと名古屋の東別院で「おわら風の盆」を見に行った事。夕暮れ時お寺の前で奏でられる三味線と胡弓の絶妙な絡み合いと、遠い記憶を思い出させるような太鼓。その品と色気ある踊りと音色に魅せられた。
帰ったら早速ネットでビデオを探し、見よう見まねで三味線の練習がスタート。すっかりハマってしまい気付けば稽古がそればかりになっていた。「やりたいと思った物から練習すればいい」というお師匠さんの言葉を口実に、他の演目はそっちのけ。おわらの音色がお風呂のお湯だったら、どっぷりと何時間も何時間も浸かっていたい。そんな気持ちで無性に何度も繰り返していた。
そのハマり具合が続く中、別の曲を舞台で演奏させていただけることが決まった。
一番初めに教えて頂いた「こきりこ節」。それをくみちゃんの胡弓と笛と、私の三味線で合奏できるようにアレンジして頂いた曲だ。初めて人前で演奏する機会にドキドキ、ワクワクしながら焦ってこきりこの練習が再開された。
すると以前とは少し違う手応えがあった。おわらブームの前は必ずお稽古していたこきりこ節。「指をツボにはめる」とか「撥の角度を上げすぎない」「親指が糸に触れたか」など、細かい事を気にしてばかりで気持ちを込めるなんて相当無理だった。でも、ジーンと感動しながらおわら節を練習したおかげか、わずかながらも気持ちが乗ってきたのだ。
楽器を通して感情を音にして表現する、そんな事ができたらきっと空を飛ぶぐらい気持ちいいんだろうなぁ。まだまだ長〜い道のりだが、少し、進歩が見えた気がした。
そうとは言え今一番苦戦しているのは繊細で難しいパートでも何でもない。まず曲頭に二の糸を一度「べン」と打つ所だ。たったそれだけなのに全てがその瞬間にかかっている様で緊張のあまりスカしたり、引っかかったり、他の糸が当たったり。
「次の本番までに100回合わせる」というお師匠さんからの課題の元、迫る本番に向けて羽化連のやや焦り気味稽古が続く。
さぁ、今日も100へ向けて二の糸と向き合わなくては。べベン。