獅子頭作り

 

昨年の3月に始まった獅子頭作り。半年ほども手が止まっていたが、12月に入ると「年内には頭を完成させる!」というお師匠さんの一言で、作業はフルスピードで再び動き始めた。

12月後半は色付け。一月前半は油単縫い。徐々に完成形が見えるようになるにつれ、今はワクワクするばかり。

でも思い返せば作り始めた頃は形を削るのが難しくて、理解できなくて、心細くなったりもして、気持ちが荒れていた。「できない自分」と戦っていた。

最初の彫りなんて、あまりにも理解できず、ムシャクシャして2日間かけて作った顔をガッツリ切り落とし、一からやり直してしまった。その険しい勢いで新しい顔を作ったので、自分んの気持ちを反映するかのように、キッと、うんと睨みのきつい顔が出来上がってしまった。

楽器を始めた時もそうだったけど、できなくて、難しくて当たり前なのに、どうも私は1回目から完璧を求める癖があるようだ。「正しいやり方」や「正解」を求め、時には細かく、しつこく質問をする事もあるが、お師匠さん方は誰一人と、そんな簡単な抜け道を教えようとはしない。

自分で考え、試して、失敗して、経験しながら自分の答えを見つけなさい、という事でしょうか。昨年、時に獅子頭作りは、「思い通りにできない自分」を受け入れる事を教えてくれた。

そんなキリリ眉毛の獅子頭は、今見ると少し、イカツイ。

「もう少し力を抜いても良いんじゃない?」

そう思えるのも、自分の心に少しゆとりができた証拠かな?

目を少しなだらかにして、表情を柔らかくしてあげた。

これからもまだまだできないことが増えるばかりで、きっとまた自分に対して厳しい気持ちを持つ事もあるだろうけど、この経験を思い出しながらもう少し大きな心で自分と向き合いたい。

 
CraftMao SakuradaComment